国が民間企業に公務を安い賃金と民間資産で代理執行させる方式をPFIと呼びます。このPFIで運用されている民間ムショが近年、各地に設置されています。ただし、民間が100パーセント運営しているわけではないため、半官半民刑務所と言ったほうが適切です。
また、「刑務所」という名称も使わず「社会復帰促進センター」という名称になっているのが特徴です。
現在、全国に4か所あり、山口県の美祢社会復帰促進センターでは国と517億円で20年契約をむすんだ警備会社やマンガ会社が共同出資しており、民間人が給食や巡回、職業訓練などをするほかもちろん公務員たる刑務官も常勤しています。

刑務所民営化のゆくえ?日本版PFI刑務所をめぐって
4877983686 | 刑事立法研究会 | 現代人文社 | 2008-02-05
スポンサーリンク
現在、民間会社が運営にかかわっている施設
美祢社会復帰促進センター
島根あさひ社会復帰促進センター
喜連川社会復帰促進センター
播磨社会復帰促進センター
初犯、軽い罪の受刑者しか入所できない
美祢社会復帰促進センターを例に説明します。通常の刑務所に比べると格段に規則がゆるく、初心者向けの刑務所と言われています。というより、初犯の受刑者しか入所できません。外周もコンクリート壁ではなくフェンスになっておりソフトなイメージを醸し出しています。
そして驚くべきことに居室は95パーセント以上が個室になっている点です。一般刑務所は通常、雑居房にて6,7人の集団生活です。
しかも独居(個室)に入るのは懲罰時。まるで逆の天国のような刑務所です。とはいうものの、所内は刑務官と民間警備員が共同で巡回しており刑務所であることに変わりはありません。
なお、美祢社会復帰促進センターでは、一般刑務所の受刑者同様、頭髪は坊主刈りに近く、ヘアスタイルの自由は一切ない。
刑務所内での警備員の権限
刑務所に配置されている民間の警備員はセコムの社員ですが、彼らには一般警備員同様、業務上の施設管理権しかなく、あとは個人的な正当防衛などの権利しか認められません。
ですから受刑者に対する公権力の行使はできません。そのため、受刑者に対する公的な処置が必要な場合は、すべて刑務官が行います。
スポンサーリンク