刑務所内の室温を「マジで半端ない寒さ」と語ったのは、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で懲役2年6月の実刑を受け、長野刑務所に収監されていた堀江貴文氏だ。
本州の刑務所でも、これだけ寒いのなら、北日本、それも北海道の刑務所内の冷暖房事情はどうなのだろうか。当然ひどい。北日本の真冬の刑務所では死人が出たこともある。
北海道内では札幌、月形、旭川、帯広、網走、函館、釧路の確知に刑務所が所在するが、当然、北に行けば行くほど極寒である。道内では函館を除けば、大変に寒い冬を毎年凍えながら迎え、時にその寒さは受刑者の命を奪うことさえある。
北海道の刑務所は居室の窓が二重になっているので、外気温の割には寒くはないが、高齢の受刑者など稀に凍死する者もいるという。
もちろん、刑務官が見回る通路や刑務官が受刑者の目前で常に監視を行う工場にはきちんとした暖房が入る。暖房のボイラーの整備をやってる修繕工場の受刑者が、寒い冬にボイラーを必死で修理して、自分の部屋に帰ったら暖房がないという悲しい現実もある。
一部の刑務所には布団に湯たんぽを入れてくれるような人権に配慮したサービスはあるが、ほとんどの刑務所の冬は地獄である。
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どのようにして受刑者は寒さをしのぐのか?
基本的に、北海道の刑務所にしか暖房設備は無い。しかし、刑務所の雑居房内の暖房に期待できない受刑者たちはどのようにして寒さをしのぐのか。その秘訣はどうやら服の重ね着にあるようだ。
受刑者はズボンを二枚重ねにするほか、チョッキ(綿入りのキルティング)を着たり私物のメリヤスを買うか、親族などに差し入れしてもらって着用することで耐え忍ぶのが刑務所の冬のやり過ごし方だ。
官物として支給される厚手のシャツとズボン下、いわゆる『ラクダのパッチ』を刑務所内では通称「メリヤス」と呼ぶが、メリヤスは支給品と私物では雲泥の差だ。私物のメリヤスは重ね着すると非常に温かく、ぐっすり眠れるという。
なお、メリヤスは上下で7000円程度するというから、受刑者が刑務所内で購入できる品目の中でも高級品だ。新入り受刑者の刑務作業では月に100円程度の作業報奨金にしかならないから、1年間まじめに刑務作業に勤しんでも、買えはしない。
なお、親族などが差し入れする場合は刑務所内の売店で買ったメリヤスのみ。こんなところにも利権が。
前述のホリエモン氏によれば、厚手の冬用靴下を履いても、支給される毛布1枚と掛け布団だけでは寒すぎて、夜中にたまらず飛び起きたと語る。やっぱり冬の刑務所は地獄そのものだ。

札幌刑務所4泊5日 (光文社文庫)
4334736947 | 東 直己 | 光文社 | 2004-06-11
夏もまた夏でつらい
冬がつらければ夏もつらそうと思われるかもしれないが、実際こちらも非常に地獄である。
刑務所の一般房にはクーラーなど気の利いたものは備わっておらず、受刑者らは専ら、支給された扇風機やウチワで熱風をかき回して、ヌルくして涼を取っている。団扇は夏が過ぎれば返納される。さすがに病室や沖縄刑務所にはクーラーがあると言うが、真相はわからない。
さて、2015年の夏は猛暑続きであったが、和歌山市の和歌山刑務所丸の内拘置支所内において、被収容者が相次いで熱中症の症状を訴えて病院に運ばれたが、一人が死亡、一人が重体になるという事故が起きた。
過去にもこのような死亡事故が相次いで発生しており、大阪弁護士会は「刑務所の収容棟の多くは冷房設備がなく、暑い夏場は熱中症が発生しやすいので緊急改善をするべき」と主張している。
しかし、今回もこのような事故が起きていることを鑑みれば、全国の刑務所で冷房設備が普及するなどの改善はされているとは言いがたいだろう。やっぱり刑務所には入るべきではないだろう。
追記
昨年、受刑者が逝去した事故があった大阪刑務所丸の内拘置支所に2016年、クーラーが導入された。
大阪刑務所丸の内拘置支所(和歌山市広瀬中ノ丁2)を所管する大阪刑務所は、夏の猛暑対策として、同支所の収容者約4人が入る共同室用にエアコン3台を取り付けた。同支所では昨年7月31日〜8月1日、収容者3人が熱中症とみられる症状で搬送され、1人が死亡しており、熱中症対策が急務となっていた。
典拠元 大阪刑務所支所:受刑者にもエアコン 昨年1人死亡受け – 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160628/k00/00e/040/192000c
なんにせよ、受刑者にも守るべき人権があるということだろう。
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