刑務所の工場と受刑者の職種!受刑者が刑務作業を行う”仕事場”が各種工場だ!懲役刑の受刑者には基本的に強制労働が課せられている。

工場で受刑者が課せられている刑務作業。これらの作業内容は必ずしも現代社会のニーズにあったものとは言えず、課題が迫られている。

また、刑務所の受刑者に与えられる仕事には、刑務所内での各種の役がある。雑役夫はその名の通り、刑務所内で主に自分たち受刑者の身の回りの仕事をする係り。

ほかにも食事を作る炊事夫や、それを運ぶ営繕夫などなど。もちろんそのような係りに選ばれるには普段の生活態度が良くて、刑務官に信頼されている受刑者であることは当然だが、さらに人選には学歴が関係する。おいおい、刑務所の中も学歴社会なのかよ……とガックり!?

なお、これらの雑役夫などは刑務所のみならず、拘置所へも派遣され拘置所内の未決囚に対しての世話もする。なかなか美味しい思いをできるのが、それぞれの役の良い点とされている。いわゆる役得。

例えば、食事を作る炊事夫は重労働で、尚且つ労働時間が長いので3食のほかに夜食が出たり、衛生のため風呂が毎日入れたりもする。計算夫や図書夫は一般工場で怒鳴られながら作業する一般の受刑者に比べると、その待遇格差は雲泥の差で刑務官にまるで部下のように面倒を見てもらえたりするようである。

刑務所の工場は所内運営のための経理工場と製品を製造する一般(生産)工場の二つに大別できる。

刑務所の工場は木工加工などの製品を製造する一般工場、それに刑務所内の運営に必要な洗濯、修繕、給食作業の工場、いわゆる経理工場の二種類に大別されるだろう。

受刑者たちは普段、これらの工場などにおいて、様々な刑務作業が行っている。基本的に作業中は、わき見禁止、無断離席禁止、交談禁止という三つの禁則事項が定められ、違反すると懲罰になるが、一般工場に比べると後述する「経理工場」は刑務官の叱責が甘いという。

これらの各工場に振り分けられる判定基準は入所時の知能テストの結果や従順性などによる。

配役審査会

通常は考査工場で適性を考慮され、配役になる工場の候補が決まり、配役審査会にて適合・不適合の最終判断をする。就職の面接みたいなものだ。そしてめでたく下記に挙げたそれぞれの工場へ配役となる。

経理工場の種類

それでは紹介しよう。各奴隷工場を。

■ 炊場工場/官炊工場

炊場工場は受刑者の日々の食事を作る工場。早番、遅番、非番で順に勤務する交代制。 朝は早く、冬はつらい工場である。ただし、風呂に入れる回数が多かったり、作業報奨金が高い、仮釈放が早いなどの役得もある。

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一方、官炊工場は刑務官の昼食を作る業務を行う。調理経験者および真面目な受刑者が選抜される。

■ 洗濯工場

受刑者は自分達で個別に洗濯することは禁じられているので、洗濯工場で一括して受刑者の衣類の洗濯をする。ほかにも布団の打ち直し、官物の管理などを行う。舎房着、工場着、靴下など様々な衣類を洗濯して返却する。 衣類の修繕もミシンを使って行う。 大型の洗濯機や乾燥機があり、冬は暖かい。

■ 内装工場/営繕工場

内装工場は刑務所内の清掃が主な仕事である。 舎房の通路のワックスがけ、風呂の清掃、グランドの整備、花壇の手入れ、草むしり、塵芥(じんかい)作業などが多い。一方、営繕工場はもっぱら刑務所内の設備の補修や簡単な家具の作成をする工場。やはり、大工などの経験者が抜擢される。

■ 図書工場

図書の工場?なんやそれ?製本工場か?とも思えるが、何のことはない、学校の図書室みたいなものである。しかし、業務は意外と多岐にわたり、官本(貸出し用の本)、それに受刑者が購入した単行本や雑誌、さらには新聞の配布などを業務とするほか、 それらの購入願箋の処理などを行う。エリートと呼ばれるその理由は、パソコンを扱る人材が抜擢されるから。今時パソコンなど誰でも扱えるが、さらに真面目で勤務態度良好でなければならない。当然、オフィスワークに似た楽な工場なので受刑者の人気は高い。

■ 経理工場

経理工場の計算工は、受刑者の作業報奨金や製品の生産量を電卓ではじき出す仕事を行う。やはりこちらもエリートと呼ばれるが、図書工よりもさらに優秀な者が配属される。例えば、不正を行って逮捕された元銀行員など。そんな受刑者に任せて大丈夫なのか?

生産工場

こちらは主に外部に販売するための製品を製造する工場である。家具から自衛官、警察官、それに刑務官の被服、冊子までいろんなものを作っているのだ。一般企業からの下請けで製造するものも多い。

■ 紙折り工場

内職工場とも呼ばれる軽作業工場。知能検査で低い判定を受けるとここに落とされる。通称・モタ工(モタモタ工場から)。ホリエモンがいたのもここ。しかしモン氏の場合は、この工場に配役されている高齢者や心に疾患を持つ受刑者の身の回りの世話をする衛生夫という係だった。

■ 金属工場

主に金属製品の加工・溶接・組立作業などを行う奴隷工場。電気製品の部品を製造する金属工場や、リサイクル品の解体・分別作業を行う金属工場などがある。金属造形科の職業訓練も兼ねて行うケースもある。

■ 木工工場

家具などを製作する奴隷工場。熟練工はもはや本職顔負け。こちらも職業訓練コースあり。

■ 印刷工場

印刷という業務の必要性から冷暖房が入り、快適である。

■ 侍工場(俗称)

恐ろしい工場。

刑務官しか知らない刑務所のルール―衣食住、懲罰、死刑囚 かくも哀しきムショ暮らしの全貌!

刑務官しか知らない刑務所のルール―衣食住、懲罰、死刑囚 かくも哀しきムショ暮らしの全貌!
4537254963 | 坂本 敏夫 | 日本文芸社 | 2007-05

その他の工場や、変わった工場

全国の刑務所によっては、工芸品や皮製品の生産工場など、その刑務所にしかない特別な工場もある。作業専門官役の高倉健でお馴染み、富山刑務所では神輿の製作がある。

完成まで4-6ヶ月かかり、年に30から40基ほどケヤキ製最高級神輿を製造している。ほかにも、愛媛県今治市大西町新町甲945に所在する新来島どっく大西工場では、一般の工員に混じって受刑者が造船の作業をしている。普通の造船工場なので刑務所ではなく、鍵のない寮に住み込んで毎日造船作業をするという風変りなもの。

この作業は誰にでも出来る簡単なものではないので、一定の基準をクリアした優秀な受刑者だけが選抜される。レベルの高い作業をするので作業成績の評価も高く、仮釈放が多く出て刑期の半分で出られるという利得もあるが、その分、他の工場より厳しく、必要な体力・精神力も一般の刑務所どころか、警察や陸上自衛隊以上で、仕事で怒鳴り散らされるのは当たり前の苦しい仕事だ。

ここを逃げて本来の刑務所に戻るという受刑者もいる。このように、通常は刑務所内の工場にて作業を行うことが大半であるが、一部の業務に関しては外塀外作業、つまり刑務所の外で行われる場合もある。

これは開放的処遇の一環として実施されているものであり、法務省所管の関連施設、または完全なる民間企業の施設を使用する場合もある。このような施設で受刑者が作業を行う場合、近隣の宿泊施設から通う場合がある。これは受刑者の自立心を養うための措置でもあり、円滑な社会復帰を図るための制度である。

受刑者が製造したものが販売されている

刑務所内工場で製造された木工品などの製品が、各地で開催される「矯正展」という法務省主催の刑務所一般開放イベントで販売されることがある。これらの製品は安いうえに非常に品質が良い。

最近では「スマートフォン用ホルダー」なんてものや、刑務所がキティちゃんとコラボした「キティちゃん貯金だるま」なんていう製品も製造販売されている。「世界中で大人気のキャラクターと伝統が融合した新感覚の刑務所作業製品です」とのことだが、社会通念上、複雑な気分のコラボだと思う。なお、これら刑務所作業製品(CAPIC製品)の売り上げの一部は犯罪被害者給付金に寄付されるという。

さらに、実は刑務所で作られているモノの中には自衛隊や警察の被服類がある。

機動隊員の出動服などが(財)矯正協会刑務作業協力事業部によって警察に納入されているのだ。

なるほど、精巧なレプリカ警察グッズが、ネットに出回っているのは手練れの元・受刑者によるためか!?

それにしても自衛隊の迷彩服はともかく、美人の女性白バイ隊員が刑務所で製造されたブーツや手袋を着用して任務に当たっているって、とっても複雑な気持ちだ。

刑務所内の各種工場のまとめ

刑ムショの中では意外といろいろな作業があり、またいろいろなものが生産されていることがわかっていただけたであろうか。

とくに自衛隊や警察の制服、御神輿まで作っているのには驚きである。


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