勤労者かつ納税者の人々が、おそらく気になっているであろう刑務所の食事、ムショの檻メシ事情だ。自分が納めた税金が刑務所の受刑者たちに対してどのように使われているか、興味を持つのは筆者も然り。その内部事情は元ライブドア社長の堀江貴文氏や、漫画家の花輪和一氏など実際に収監された著名人などの手記や作品で垣間見える場合が多い。
当サイトでは彼ら受刑者の食うメシを『檻メシ』『獄メシ』と呼ぶが、これは決して揶揄ではない。檻の中で出されるメシ、そこで食うメシ・・・。真面目にお勤めする彼らを横目に不謹慎ではないかと葛藤しつつも、心の底に”魅力”を感じ、敢えての言い回しだ。ともかく、そんな檻メシ、獄メシをめぐるホントのお話をじっくりご紹介しよう。まずは炊飯から。
刑務所のメシ炊きは炊場(すいじょう)工場
受刑者の日々の檻メシを調理し、各房まで配食するのは調理担当の受刑者、その名も『炊夫』たちだ。彼らは炊場(すいじょう)工場と呼ばれる所内の調理施設にて栄養士である技官の指示のもと、何百人もの受刑者の胃袋を満たすため、日々食事作りに励んでいる。
実は刑務官の食べる『官炊』と呼ばれる食事を作っているのも、彼ら炊夫たちだ。当然、何かを入れられたりしないように厳重に監視されて調理されているという。
朝飯質素、夕飯豪華な檻メシの実情と作法
炊場で調理されたメシは台車によって各雑居房に炊夫によって運ばれてくる。房のドアに設けられた小窓から房内の『配食係』の受刑者が受け取り、それぞれの受刑者に配膳をしてゆく。各雑居房ごとに『房長』がおり、毎回、房長の『いただきます』の声で喫食を開始。

刑務所の食事の一例。
3食の中で一番質素なのが朝飯だ。みそ汁に漬物、麦飯の和食が多い。麦の混ざった飯、25g前後の漬物が載った小皿、ネギやワカメの汁もの、 それにふりかけやお茶が付くだけの質素な朝食を受刑者は急ぎかっこむ。週に何度か、大きなパン、バターとチョコクリーム、ジャムが付くパン食の場合もある。
受刑者の大多数が工場にて刑務作業を行うため、昼飯は通常、工場内の食堂で喫食だ。こちらは自分で配膳をしなくても、炊夫が配膳してくれているので楽。
夕方になり、刑務作業を終えると週に3回は風呂が許される。その後、舎房に戻れば夕食だが、やはり3食で一番盛りが多く豪華だ。ハムカツ、ラーメン、豚丼、美味いものが盛りだくさんだ。
ただし、刑務所のメシはおかわり不可。また、ほかの受刑者同士でおかずなどを交換したり、譲渡も”不正授受”となり、厳罰。ただし、一部の嫌いなものについては残してもかまわない。
檻メシは麦飯と○○のために健康的!
麦7、米3の割合で、麦飯が主食である。麦飯は人の生理作用に優れており、糖尿病患者が麦飯を食べると、血糖値を下げ、劇的に症状を改善させるなど、近年では医学的にもその有効性が確認されている。食物繊維の供源としての麦飯パワーには恐るべきものがあるのだ。カツカレーなど豪華なメニューもあるが、お約束として麦飯であることは言うまでもない。
さらに健康的なのは麦飯だけじゃあない。檻メシの特徴はその味付けの薄さだ。元ライブドア社長の堀江隆文氏が出所後すぐに食べたのはマックのハンバーガーだったそうで、刑務所の中の薄味の食事に慣れた身には、数年ぶりに食べたその味付けの濃さが”効いた”という。薄い味付けは高齢の受刑者には物足りないが、健康的にはすこぶる良いのは言うまでもない。
なお、前述の”ハンバーガー”だが、実は2007年、宮城刑務所の檻メシでマックが出た例もある。朝日新聞によれば「社会の空気に触れてもらう」という当時の所長の発案から、食事にマクドナルドのハンバーガーを出したそう。刑務所でマックが食えるなんてマジメな納税者よりも受刑者たち自身が、さぞびっくりしただろう。当然、これは個別の刑務所長の裁量による特例措置。法務省の正式な措置ではないので、どこの刑務所でも行われるということではない。
檻(オリ)メシは意外と豪華
最近では粗食だったり、肉を食べない方がむしろ健康に悪いという一部の医師もいるが、刑務所にも、きちんと管理栄養士の資格を持った技官が配置されており、受刑者には成人が一日に接種すべきカロリー平均に基づいて、食事が提供されている。
季節や行事ごとに出される特別なメニューについて
刑務所の食事といえば、貧相なものと一般的な常識だが、祭事の季節ともなれば意外と豪華な檻メシも出るのが刑務所の実情。特別な日には特別な食事も供される。
例えば、2月のバレンタインデーにはチョコレート、三月のひな祭りはひなあられ、五月には柏餅、彼岸にぼたもち、土用の丑の日にはウナギ、九月は月見団子。十二月ともなれば、クリスマスケーキも供される。さらに誕生日(誕生月)には特別メニューも供されている。
そして、受刑者にとって最大の楽しみは正月のおせち料理だろう。
刑務所でコーヒーが飲める?
また、刑務所でもコーヒーが全く出ないわけではなく、年に数度、缶コーヒーとして配給される。普段、コーヒーなどすっかり絶ってカフェイン抜きしている受刑者たちにはコーヒー一杯でも眠れなくなって困ることがあるという。
刑務所とコーヒーの話としては、刑務官が受刑者を自分に懐かせるためにお菓子やコーヒーを不正に与えて処分されたという不祥事が近年、起きている。
当然ながら、刑務官が受刑者に私的な施しをすることはご法度。バレれば処分、バレなければ良いという話でもない。
果物も冬場はとくに多く出されるという
前述の堀江貴文・元ライブドア社長によれば、収監されていた宮城刑務所の例では、冬場はオレンジなど柑橘系の果物がヘビーローテーションで配給されたとのこと。同氏はコストが安いからではと推測しているが、数日に一回は出ている感じがしたとのことだ。
余談であるが、女性の受刑者へ、バナナが配給される場合、一本丸ごとではなく半分に切った状態で供されているのが実情だ。察してください。
”特食”と呼ばれる甘味(アマシャリ)
甘味とは、砂糖や蜜のような甘い味のことをいい、人間が味わうことのできる5種類の基本的な味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)のひとつです。 生きるために必要なエネルギー源、つまり、炭水化物を示す味として本能的に好まれると考えられ、赤ちゃんでさえ、甘味を感じた途端に微笑みを浮かべます。
出典 日本成人病予防協会
世間一般では刑務所で「甘いもの」は出ないとよく言われるが、実際には前述の通り、所内で『特食』として甘いものが配給されることは皆無ではない。フルーツポンチも出るし、コーラも出るのだ。これら甘味は通称『アマシャリ』と呼ばれ、祝日に配給されている。
また、普段の態度がくそまじめで優秀と認められる模範受刑者は、講習会というお楽しみ会においても、お菓子やジュースの喫食(自費)が許されている。刑務所にもよるが、内容は300円から500円程度のお菓子で、チョコレートやせんべい、ゼリーやプリン、クッキーなど。「なんだ。刑務所の受刑者も結構、甘いものやお菓子を食べてるんじゃないか」と思う方もいるかもしれないが、まぎれもなく事実である。
このような模範的な受刑者、つまり優良受刑者の評価は毎年四月と九月になっており、大多数の受刑者はみんな自分の評価が上がることを期待して、真面目に懲役を務める。
また興味深いのは”アマシャリ”で遊ぶ受刑者たちだ。食い物で遊ぶなんて、日本人であれば忌避したいところだが、塀の中ではそれすら娯楽にされているといったところか。
2006年に放火の罪で逮捕され、懲役10年の判決を受け収監されていた”くまぇり”こと平田恵里香受刑者の”手記マンガ”によれば、甘シャリを”団子にした麺”で包み、お饅頭のようにして食べるのが乙だという。アマシャリ以外にも、袋めんが出たときは袋のまま、手で揉んで団子状にしてスープへ投入し、”すいとん”風にして食べるのも乙だという。このように受刑者は日々の何気ない日常を彩るため、3度の食事においても創意工夫しているようである。
檻メシに対する受刑者たちの不満
『無料で食事を食っているくせに何で不満を言うんだ』と塀の外から指摘もされているが、ともかく受刑者からは食事について不満があるようだ。中でも「プリンをハシで食うのはちょっと」などの声がある。
これまで刑務所内の食事では、箸のみで、金属のスプーンは安全面から使うことを許されなかったが、現在では改善され、紙製のスプーンが渡されている。他にも冬季は食事が冷たいとか、配食の公平性に掛けるとか、高齢者はネーブルオレンジの皮を剥きにくいなどの不満があるようだ。
これらの不満は有識者からなる「刑事施設視察委員会」の活動報告(平成26年度分)で明らかになったものだが、刑務所の事務をつかさどる法務省矯正局では、7割以上の不満に対して”前向きに改善する”としているようだ。
檻(オリ)メシにはランクがある?
さて、配食の公平性の問題であるが、事実として刑務所の食事には受刑者の職種によって盛りに違いがある。
ABCと3種類のランクがあり、それぞれ立ち仕事や通常の作業の者、作業に出ない者用にカロリーの面から食事の量が違うのである。
工場勤務で立作業の受刑者には最も高い2620カロリー分のメシの量が供されているが、これは一般の成人が必要とする最低限のカロリーである。
背の高い受刑者にはさらに盛りが多くなる。ただ、見た目にはあまり変わらないようである。
なお、2014年に刑務所に収監されている受刑者が、刑務所の食事のカロリーが不足しているとして国を訴えた。この受刑者はカロリーが少ないために体調不良になったとして、国に対し150万円の賠償を求め甲府地裁に提訴した。同地裁は国の過失を認めて精神的損害に対する慰謝料として国に10万円の支払いを命じたそうだ。
なお、この男性受刑者には奥歯がないことにより、噛むのは困難だという理由で主食にお粥が2年間供されたとのこと。
刑務所内で特別待遇を受けている一部受刑者たち
日本の刑務所の場合、一度収監されると受刑者は例え有名人や政府高官、それに政治家など上級国民であっても、一般受刑者と同じ扱いを受けるというのが建前だが、実際には一部の有名な受刑者は単独房に隔離され特別待遇になっているのが実情だ。
それは檻メシも同様で、刑務所の中で受刑者たちが食べている食事も実は全員が同じではない。例えば、イスラム教の信者などには豚肉の入らない特別メニューが供されていいる。
これについては2014年、松島みどり法務大臣自らが「逆差別でずるいんじゃないか」と発言し、物議をかもしてもいる。
典拠元
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000416220050330008.htm
そしてもう一方、特別待遇の受刑者がいる。それが在日米軍兵士や軍属の受刑者たちだ。彼らが日本国内の米軍基地以外(つまり正式な日本国の領土内)で罪を犯した場合、日本の刑務所に入ることも間々あるが、日本人受刑者ならば週に3回しか許可されぬ入浴も、米兵は毎日シャワーが許可される特別扱いを受けているという。最も明確な計らいは、やはり食事内容だという。肉が多いほか、アップルパイやチェリーケーキなどの”アマシャリ”、牛乳、コーヒーも在日アメリカ軍から”現物支給”されるというのだ。
これは2006年に明らかになったものだが、収監米兵への米軍からの差し入れの受け入れは刑務所長に許された「裁量権」で許可してるわけではなく、日本政府が政策として行っているアメリカへの忖度だ。
一般人が刑務所の檻メシを食えるのか?
前述したように、刑務所の食事は量こそあるが、味付けは薄く、カロリーも低く抑えられており、普段のメニューはとにかく質素(=健康的)だ。こんな刑務所の食事、すなわち檻メシを一度は食べてみたい、できれば罪を犯すことなく、と願う人もいるのではないか。
これまで、刑務所の実際の食事は受刑者と刑務官、それに視察の議員や法曹関係者、それに一般人としては一部の見学者などしか食うことが出来なかった。
北海道網走市にある博物館の『網走監獄』では監獄食と銘打って『現在の網走刑務所の受刑者が食べている食事を再現した食事』を喫食体験できるが、刑務所が民営化されている現在では一般人も刑務所の”本物の”獄メシ、檻メシを食うことが出来る。
それが山口県美祢市で全国初のPFI方式による刑務所として開所した”民間刑務所”こと「美祢社会復帰促進センター」内にある見学者向け食堂である。
受刑者が実際にその日食べているメニューと同じ食事が20食の数量限定で「美祢定食」(370円)として喫食できるのだという。もちろん、バクシャリであり健康に良い。
ほかにも各刑務所匂いて毎年一回行われる「矯正展」にて実際の食事が喫食できる体験ベントが行われる場合もあるので要チェックだ。
2016年から給食を民間委託する刑務所が出てきた
このように、ムショの獄メシは受刑者自らによる調理が長らくの伝統であったが、時代の趨勢から民間委託が増えているそうだ。民間委託の理由だが、経費削減のほか、食中毒防止というものが目を引く。
加古川刑務所(兵庫県加古川市)は3月1日から、受刑者への給食業務を民間に委託する。全国の多くの刑務所や拘置所では受刑者が調理を担当するが、毎年のように食中毒が発生している。法務省は衛生管理強化の一環で入札を実施し、同刑務所を含む3施設への一括委託を決めた。従業員は地元で採用するほか、落札価格は従来の予算規模を下回り、経費面でも効果が期待できるという。
典拠元 神戸新聞 https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201603/0008849519.shtml
これはやはり、プロの調理スタッフと素人受刑者との調理に対する衛生観念の違いということなのだが、実際、刑務所における食中毒問題は大きい。北海道の月形町にある月形刑務所では2013年、500人が一度に食中毒になった大規模食中毒の例もあり、刑務所で集団食中毒などがひとたび発生すれば、大変なことになる。
自衛隊の食堂では集団食中毒を考慮しながらも刺身が出されているが、刑務所では刺身などの”生もの”は出ない(ただし、半解凍状態の刺身は出た例があるという)。集団食中毒の防止を念頭に置き、生卵、刺身など生ものは正月でも絶対に出さない方針が取られている。
また、高齢の受刑者が増えることで炊場工場に出役させられないという懸念も出てきているようだ。
受刑者高齢化…自炊できぬ 刑務所の給食、来年から民間委託 法務省
典拠元 産経新聞 http://www.sankei.com/west/news/140513/wst1405130024-n1.html
いずれにせよ、刑務所と自衛隊の給食は自前で作るというのが基本だったが、今後は変化することになりそうだ。
檻メシまとめ
このように意外と多岐にわたる檻メシの各種メニュー。収監されていた受刑者の手記を読む限りではある意味、一般社会で暮らす我々が普段食べているものと、たいして変わらないのではないかと思えるだろう。
ただし、刑務所の食事内容については各刑務所長の裁量権が大きく左右していることに留意が必要だ。また、法務省の一時的な試験運用の例もあるだろう。恒久的に続く措置ではなく、あくまで一時的な例外措置である可能性が高い。過去には予算の面から出されていたメニューも、近年の予算削減で全く出なくなったこともあるという。すなわち、特異なメニューがあっても、必ずしも刑務所で日常的に出される食事ではないということだ。
また、味の感じ方や好き嫌いについても人それぞれだ。実際に収監されていた元受刑者の一部からは、とくに堀江貴文氏の様な著名人の元受刑者の檻メシに関する発言に対して「刑務所の食事が美味いわけないだろう。話を盛るな」という声も聞かれる。当サイトではこれを少しでも是正するために、実際に収監されていた元受刑者からのご意見を掲載している。
いただいた複数のご意見について
当ページに対してご意見をいただきましたので下記に掲載させていただきました。
記事を読ませていただきました。
自分はホリエモンと同じ長野刑務所(初犯かつ短期刑囚の収容)に
2012~2014年の2年ちょいの間、収監されていました。
出てきてからいろんな媒体の刑務所話に興味をもちネット検索したんですけど
「古い時代にあったが今は存在しない過去の話」「芸能人収監者などの『盛った話』」が非常に多く
現状とは全然違うと思う事が多いです。
もちろん収監された時代や、各刑務所にも個性があるので、一概にこうだという話はできないのですが
明らかに誤解を生む情報の多さにびっくりしているところでもあります。
基本的に現在の刑務所の動向は、全体的に「予算の縮小傾向」にあります。
少し前までは割と「刑務所でこんな贅沢していいの?」とか優遇されていた事も
どんどん中止や縮小されているのが実情です。
私が収監されていた2年ちょいの間ですらどんどん優遇は悪化していっている印象を受けました。
(例えば居室の布団の交換時期の延長や、食事のおかずが同じ品目でも小さくなったり劣化したり、イベント事の縮小化など)
なので私も2012~2014の2年間しかいませんでしたが、少しは意見を参考にしていただけないでしょうか?
例えば「食事」の項目だけでも、これだけの違いがあります。
> 朝食にバターとチョコレートクリームのついたパンが出る
朝食は基本的に麦飯+小皿(漬物やでんぶ、ミニ納豆など)+味噌汁の質素なメニューでパンはでません。
パンは2週間に1回程度、「夕食」に出ます。またその際は小袋の各種ジャム(もしくはマーガリン)が1つ付属するだけで「バター」は絶対でません。
> 夕食にラーメン
シャバで出るようなものではありません。小学校の給食で出るソフト麺と汁を足してできるようなものが「昼食」限定で出ます。
工場で作業中に係の者が、かなり前から用意するので、みなが昼食にありつく頃には汁も冷め、麺は伸びきっています。食えたものではありません。具も貧素。
> 刑務所でマック
そんなもん本当の本当にレアな実験みたいなもんで、通常そんなシャバの食事ができる事などありません。歴史的なレアケースの話であり
そんな試みがちょいちょい行われているみたいな印象はもたれたくないです。
> カツカレーなど割と豪華な飯も
2年間で1度も「カツカレー」なんて出ませんでした。カレーの時はカレーのみです。(毎週月曜日昼飯は決まってカレー)
また「豪華な食事」も出ません。「とりのからあげ」というメニューが希に登場し、人気メニューだったのですが
最初はコンビニで売ってる「ファミチキ」くらいの四角い鳥モモ肉を揚げたものが出たんですが
途中からサイズはその四角い肉を斜めに切った「三角形の肉」(もちろん大きさは前の半分)、かつ、モモ肉→ヘルシーなパッサパサの胸肉に変更という
大幅な「グレートダウン」が存在しました。基本的にこんな感じでおかずの質はどんどん経費カットが進んでいったのが現状です。
そもそも「肉」そのものが滅多にでない!出ても非常に質の悪いゴリゴリの肉です。
> 行事の特別食
基本的に国の定めた祝祭日(カレンダーで休日)には100円程度の菓子(特食)が出ますが
それ以外の行事(カレンダーで通常日)には、何も出ません。(例外はクリスマスですが、ほぼスポンジだけの小さなケーキが出るだけです)
バレンタインチョコ、ひなあられ、月見団子、ぼたもち、ウナギ→都市伝説です。絶対でません。(かなり昔は小さいウナギとか出たみたいですが現在はありえない)
例外として「刑務所」では絶対出ませんが、刑が確定する前、もしくは死刑囚が収監される「拘置所」ではイベント日に菓子が出たりします。(バレンタインにチョコなど)
> 甘シャリ
通常の食事メニューでは一切でません。記事にある模範囚のみが参加できる集会で自費購入できる菓子と
前述の「祝祭日」に出る特食しか甘味を口にする事はありません。
> コーヒーが飲める
年に1回「花見」と呼ばれる運動場での集会があり、そこで缶コーヒー1本とどら焼きが食えます。これは誰でも無料で配布。
それ以外では模範囚集会の自費購入以外でコーヒーを口にする事はありません。
・・・とまあ食事の項目だけでも実情はこんなに違うんです。ウナギなんか絶対でない!甘シャリも貴重なもので滅多に口にできない!
年末年始の特食も年々グレードは下がってきている印象があり、映画「刑務所の中」で公開されているような豪勢な内容・量のおせちは出ません。
その手の特食は外注になるんですけど、年々内容は貧素になってて、せいぜいちょっと豪華なコンビニの幕の内弁当レベルのものがでるだけです。
ちょっとでも記事の参考にしていただけたら光栄です。では・・・
2017年10月07日、さらに御意見をいただきました。
はじめまして。
2015~2017年にかけてPFI刑務所の一つである喜連川社会復帰促進センターに入所していた者です。
檻メシの記事とそれに対する意見を読ませて頂きました。他の事柄にもよりますが、この手の処遇については施設によるとしか言いようがありません。
他の施設に職業訓練へ行った同衆や他の施設から移送されてきた者(26歳で少年刑務所から移送や不良移送など)からそれぞれの施設の実情などを聞くと、同時期であっても施設によってだいぶ違うなと言うことが多いです。例えば自費購入できる菓子(優遇菓子)の喫食方法は、一般的には集会などで配られその場で食べなければならない施設が多いようですが、喜連川の場合土曜午前に一斉に配られ、月曜朝食空下げ時まで居室内で食べることができます。
そのため、担当のオヤジ次第ですがたいていの工場では同一雑居内の優遇区分は統一していることが多いです。
不正授受の温床になったり妬み僻みを助長することになりますので。
3類は3類だけの部屋、優遇菓子がもらえない罰開け(4類5類)と未類はひとまとめ、など。あと甘シャリや特食について、特食には基本的に甘シャリは含まないと言う認識でした。
甘シャリは通常の食事に出てくるヨーグルトやぜんざい、きな粉など甘い味のおかずやデザートのことです。
一部の受刑者(少年刑務所上がりなど)は、シャリに混ぜて増量などやっていたりもします。
そして祝日菜と呼ばれる特食はカレンダー通り祝日に100円程度のお菓子が出ますが、行事や特別な日に出てくる特食は
・クリスマスイブにケーキとペットボトルの炭酸飲料
・誕生日会のケーキ(もしくは菓子パン的なもの)とコーヒーまたは紅茶・
運動会の日にお菓子・
年末年始のお菓子セット
以上です。
バレンタインなど祝日ではない行事には基本的に何も出ません。
季節的な特食が出たとしても、祝日菜としてそれっぽいものが出る程度で、たいていの場合普通のスナック菓子などの方が量も多く柏餅などは概ね不評です。おせちは恐らく外部の業者から仕入れた仕出しのものが出て、年に一度の貴重な生の魚介類が入ってますが、食中毒対策なのでしょうか素材の味がまるでわからないぐらい酢に漬けられているので、酸っぱいだけでうまくありません。
それでも生で味わえるイカなどの食感に喜びますが。普段の食事で肉料理は割と多く出ましたが、豚と鶏ばかりで牛肉は三が日にしか出ません。
食事の味付けはさほど薄いと感じませんでしたが、味噌汁や豚汁が減塩のためか驚くほど薄く、入所した当初は出汁や味噌を入れ忘れてるのではと疑ったほどです。
それもしばらくすると慣れてしまい、豚汁やけんちん汁などは野菜の甘みが感じられて却ってうまく感じたりします。
パンと麺は週に1度、決まった曜日の昼食として出ます。
魚は2週に一度金曜の夕食に出ます。
パン食の日は主食のパンがシャリの日と比べてカロリーが低いため、夕食のシャリが普段の2割り増しぐらいになります。
そしてとにかくカレーが多かった。
月に6~7回はカレーが出ますし、種類も豊富でした。
普通のカレー以外に野菜カレーやホワイトカレー、パンプキンカレーなど。
ただカツカレーは一度も出ませんでした。喜連川は食事の味はハズレですが、メニューは色々と創意工夫しているようで、シャバでも食べたことのないちょっと洒落たメニューが出たりすることもあります。
味がハズレなのでお得感は薄いですが。
在所中に一度食事に関するアンケートがあり、多くの受刑者が嫌いだと言うレバーの調理法が変わったり、リクエストの多かった唐揚げが出るようになったり、改善しようと言う意思は感じるのですが、如何せん味がよくないのでなかなか不満は解消されませんでした。ちなみに正月以外でも銀シャリが食べられる日と言うのも年に何度かあります。
炊場の工事や清掃の日です。
コンビニの一番質素な弁当のようなものが出ますが、シャリが銀シャリだと言うだけで問答無用で当たり扱いです。
麦シャリばかり食べていると銀シャリの甘みと香りが本当に嬉しいのです。予算は確かに厳しいようで、一時作業報奨金での物品購入が大幅に制限されたりというとんでもない事態が起きたりもしたようですが、喜連川の場合は徐々にですが処遇面では緩和される方向になってきています。
例えば居室内でタオルを石鹸などで洗えるようになったり、制限区分(類ではなく種の方)が上がりやすくなったり、優良単独室(準解放居室)への収容者の区分が緩和されたりなど。
この辺りは時代の流れということもあるかもしれませんが、一番の要因は施設長やそれに準ずる人間がどのような決定を下すか、だそうです。
喜連川の場合は刑務所長ではなくセンター長という人間が施設長にあたりますが、彼は神輿のようなものなので、実質的にはその下にいる人間が方針を決めていると思いますが、その人間が在所中に変わったらしく、処遇面を緩和する方向に動いたという話をあるオヤジから聞きました。
なので方針を決める施設トップの方針次第で、処遇が厳しくなったり緩くなったりということが起こります。時代の流れとしては行進時の声出しなどは縮小する方向になっています。
外部機関からの提言によってだそうで、運動連行以外では声出し(イッチニ!や連続歩調など)は原則しなくなりました。あとPFIは半民間だから処遇が緩いとイメージされがちですが、そんなことは無いようです。
川越から移送されてきた複数の人間が、川越よりオヤジがうるさくて厳しい、などと言ってました。
根拠のない噂話に惑わされ、喜連川に来れたことに喜び実情を知ってがっかりした、という奴が多いです。
優遇区分も上がりにくいし、仮釈も率こそ高いですが期間は渋いです。長々となってしまいましたが、施設によって、そしてその施設の長が誰かによって処遇は大きく変わるため、同じ施設であっても時期などによって結構違うことが多いよ、ということです。
刑務所は慣れてしまえば楽ですが、それでも貧乏だろうがなんだろうがシャバの方がいいです。
以上、檻メシについて二件の御意見をいただきました。ありがとうございました。
皆さんも『実際の刑務所の内情と違う!』と思ったらどんどん意見を送ってくださいませ。
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