労役場とは何か?刑法第18条に「罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する」とキチンと明記されている換刑処分のことだ!

この記事の所要時間: 330

罰金払えないからムショで働いて稼ぐ・・「懲役」と「労役」の違いは?

犯罪を犯し、裁判で罰金刑を言い渡された場合、数十万円ならば親や友人、サラ金から借金して払えることもあるだろう。

なお、ここで言う罰金とは軽微な交通違反の反則金とは異なるので注意したい。

無免許運転で罰金30万円、飲酒運転で罰金50万円、交通死亡事故を起こせば罰金100万円というのが相場のようだ。交通事故や交通違反に限らず、企業が絡む経済犯罪、それに個人の脱税事件などでは罰金500万円などさらに高額な罰金が科せられる場合もある。

一般人(犯罪者の時点で一般人ではないが)がこんな罰金刑を喰らっても、到底即払えるわけがない。

払いたくても払えない場合であっても、国民年金の様に「仕事が無い」とか「弱い立場の国民をいじめるな。人権侵害で逆に訴えるぞ」などの言い訳は通用せず、検察庁から何度も払えと督促が来る。

本来、罰金は一括納付が基本であり、検察庁も分納させないように強く出てくる。しかし、分納が全く認められないかと言えばそうでもない。地検ごと、あるいは検察官ごとに対応が異なるのが実情だ。

親族や勤め先からいくら借りて、いくら納められるのか、実際に分納できる額と納付計画を検察官に事細かに事前提示するなど粘り強く交渉した結果、分納が認められたという実例もある。

しかし、罰金の納付がままならない無職や身寄りのない人はどうなるのだろうか。



スポンサーリンク

そこで労役場の出番

督促状を放置して払わなければ、今度は黒光りするノーベルの特殊警棒と収容令状を持った検察事務官がやってきて、地検のオフィスにしょっ引かれ「アンタ、ここで働いて罰金稼ぎな」と言われ、最終的には刑務所に併設されている労役場に収監されるのだ。

つまり、科料や罰金を払えない人に国が”職をあっせん”して、金を稼がせるというコト。

これは刑法第18条に「罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する」とキチンと明記されている換刑処分というもの。

労役でムショに行ってきた!

労役でムショに行ってきた!

4883927741 | 森 史之助 | 彩図社 | 2010-12-22

さて、罰金を納めない者が労役場に留め置かれると、一日5000円で月曜から金曜まで薬袋やマクドナルドの紙袋貼りの軽労働をさせられる。

この苦行を労役という。懲役ではないため、刑務官の対応は緩いものであるが、規則は順守せねばならないし、頭髪は丸刈りだ。

なお、500万円の罰金刑の場合、500万円に達するまで5年近くいるのかと思うかもしれない。

しかし、前述したように、法の規定では最長で2年間しか労役留置が出来ないので、一日の換算額は罰金の額によって決められているのが現状だ。

例えば、罰金が50万円以下の場合は1日5,000円、50万円以上の場合は1日10,000円以上で計算されているので、罰金5億円の場合であっても、労役留置期限最長の2年で全額完済できるように、一日100万円×500日に換算した判決が実際にある。

ただの紙袋作りが日収100万円とは、法の下の平等とは言えず、ある意味トンデモ判決であるが、日本政府は平成18年に問題ないと回答している。

ただ、企業に対して罰金刑が下ることもあるが、法人が罰金を納めないからといって、代表者や経営陣が労役場留置になることはない。

逆に言えば、飲酒運転で逮捕されて罰金50万円の判決が出たとしても労役場に自ら入れば、楽な薬袋作り作業で楽に50万円を返せてしまうのだ。

もちろん、会社勤めの人なら数カ月も会社を休めばどうなるかわからないが、砂川飲酒事件の自営のドカタや無職なら何も怖くはないだろう。

これもまた不公平で時代にそぐわないと考えている人も多いようだ。

罰金刑が下っても、払えずに労役を自ら望む者が2008年時点で10年前の二倍以上に増えているという。

これまでさんざん「罰金が払えないなら労役に行ってもらうことになる」と脅してきた検察も、その脅しが効かなくなっているというのは興味深い。


スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする